アポスティーユ(Apostille)とは、1961年の「外国公文書の認証を不要とする条約(いわゆる認証不要条約/ハーグ条約)」に基づき、外務省が発行する国際的な証明文のことです。
アポスティーユが付された公文書は、条約加盟国において追加の認証(公印確認・領事認証)なしに提出・使用することができます。
アポスティーユとは(定義と制度の趣旨)
アポスティーユは、ハーグ条約第2条において、次のように定義されています:
「提出先の国の外交官や領事による“署名の真正性・署名者の資格・文書に押された印影の同一性”を証明する手続を省略するために、あらかじめ標準化された証明文を添付すること」つまり、通常であれば必要な「公印確認」や「大使館での領事認証」の手続きが、アポスティーユの取得によって簡素化・短縮されるというのが最大のメリットです。
アポスティーユの様式と構造
証明文(アポスティーユ)の書式はハーグ条約で統一的に定められており、少なくとも一辺9cm以上の正方形でなければなりません。
また、アポスティーユの証明文は以下の2通りの方法で文書に付されます:
- 文書本体に直接記載する方法
- 文書と一体化された別紙(補箋)に記載する方法
この補箋(ほせん)とは、本紙に結合される追加の紙片のことで、外務省発行の証明文も通常この補箋の形式で発行されます。
なお、外務省のウェブサイトでは「付箋」という表現も用いられていますが、ハーグ条約の正式な邦訳では「補箋」という用語が使用されています。これは、日本の法律(たとえば手形法第13条)でも用いられる正式な法令用語です。
記載される内容と言語
外務省が発行するアポスティーユは、現在、証明文の本文が英語で記載され、表題部にはフランス語の「Apostille」という語が必ず記されています。
これは、ハーグ条約の規定により、表題部分にはフランス語を使用することが義務づけられているためです。
アポスティーユには、以下の情報が明確に記載されます:
- 該当する公文書が誰によって署名されたか
- その署名者がどのような資格・役職で署名したか
- 公文書に押された印影が誰のものであるか
このように、外務省が「署名者の身分・資格・印影の真正性」を正式に証明することで、その文書が真正に作成された日本の公文書であると外国機関に認めてもらうことが可能になります。
まとめ|アポスティーユ取得は簡素で国際的に通用する証明制度
- アポスティーユは、ハーグ条約加盟国に対して公文書を提出する際に必要な、最もシンプルな認証手続きです。
- アポスティーユが使えるかどうかは提出先の国がハーグ条約に加盟しているかどうかで判断されます。
- 非加盟国(例:イエメン、ベトナム等)に対しては、公印確認+大使館の領事認証が必要です。